はじめに

貸金業を営業する前に①~④の登録申請について確認しましょう

①自分の事業が登録申請の対象かどうか?
②どの登録をどこへ申請するか?
③どんな設備、資金、人材が必要か?
④準備ができたら登録を申請していきましょう

貸金業を営業する際は、貸金業法に基づいて財務局長または都道府県知事の登録が必要となり、無登録での営業は禁止されています。
(貸金業法 第3条)
また、3年ごとに登録を更新しなくては、その効力は失われます。成年被後見人又は被保佐人、登録取消後5年を経過しない者、禁錮以上の刑を受けたなどの場合には、登録は受けられません。
(貸金業法 第6条)

東京都産業労働局ホームページ

登録の対象

登録が必要な業種または事業例をご参考ください

【対象1】金銭の貸付または金銭の貸借の媒介を業として営もうとする者
【対象2】手形の割引、売渡担保等よって金銭の交付または授受の媒介を業として営もうとする者
消費者金融業者

消費者金融業者

金銭貸借の媒介

金銭貸借の媒介
(業として行う者)

事業者向け金融業者

事業者向け金融業者
(不動産担保金融業者等)

カード会社

カード会社

信販会社

信販会社

リース会社

リース会社

百貨店

百貨店

スーパー

スーパー等

登録の種類

2つ以上の都道府県に営業所・事務所を設置するかどうかで登録が変わります

イメージ図

都道府県知事
1つの都道府県の区域内にのみ営業所、事務所を設置する場合

イメージ図

財務局長
2つ以上の都道府県の区域に営業所・事務所を設置する場合

貸金業登録の変更

イメージ図

知事登録業者が登録している
都道府県外に支店等を設置
→ 財務局長

イメージ図

知事登録業者が他の都道府県に
営業所を移転
→ 移転先の都道府県知事登録

イメージ図

財務局長登録業者が営業所を廃止し
1つの都道府県内にのみ営業所を設置変更
→ 当該都道府県知事登録

登録の条件

貸金業の登録には以下の条件をクリアする必要があります

人材

①営業所又は事務所ごとに、貸金業務取扱主任者を設置

貸金業者は、営業所又は事務所ごとに、貸金業に関する法令の規定を遵守して貸金業務を適正に実施するため、貸金業の業務に常時従事する者のうちから貸金業務取扱主任者を選任しなければなりません。選任は、貸金業者が法人の場合、常勤の取締役または貸金業務に従事する使用人(従業員)の中から行い、監査役を主任者に選任することはできません。また、貸金業務取扱主任者は、選任された営業所に常勤しなければなりませんので、他の法人はもちろん、他の営業所と兼任することはできません。


②貸金業の運営体制として従事する役員を設置

常務に従事する役員のうちに、貸付けの業務に3年以上従事した経験を有する者がいること。


③貸金業の運営体制として従事する常勤の役員または使用人(従業員)を設置

営業所等ごとに貸付けの業務に1年以上従事した経験を有する者が常勤の役員又は使用人(従業員)として1人以上在籍すること。


→人材不足にお困りの場合はこちら

資金

①財産的基礎

純資産額(貸借対照表において資産の合計額から負債の合計額を引いた額)が5,000万円以上あることが必要です。

場所

①固定電話の設置

営業所又は事務所は必ず設置しなくてはならず、各営業所には固定電話の設置も義務付けられています。固定電話の電話番号は登録申請書に記載しますが、その後の現地調査の際に、当該電話番号に誤りがないか実際に電話を架け調査します。


②個人情報保護の設備

登録会社と同一フロアに特に区切られることなく他の法人と同居しているような場合には、独立の営業所を構えていることとはならないため、個人情報保護の観点等から貸金業の営業上好ましくないといえます。同一フロアにあっても扉やパーテーション等で区切られている場合は、独立の営業所として認められますが、登録申請前に監督官庁との打ち合わせを行っておくのが好ましいと考えられます。


③物件所有者の承諾書

営業所を賃借している場合には、賃貸人の貸金業の営業所として使用する旨の承諾書が必要となります。転貸借の場合であっても、転貸人はもちろん、当該物件の所有者(オーナー)に至るまでの、貸金業の営業所として使用する旨の承諾書が必要となります。なお、賃貸借契約書は、原本を提示し、写しを提出することとなります。また、賃貸借の契約期間は2年以上と定めることが必要です。

企業体制

①商業登記事項との合致

定款又は寄付行為の内容が法令に適合していること。特に目的に「貸金業、金銭の貸付け、融資」等の貸金業を営む旨があり、商業登記事項と合致することが必要です。


②社内規則

資金需要者等の利益の保護を図り、貸金業の適正な運営に資するため十分な社内規則を定めていること。

欠格事由

登録を受けようとする者が下記に該当するとき、又は申請書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、もしくは重要な事実の記載が欠けているときは、登録を受けることができません。


  • 成年被後見人又は被補佐人
  • 破産者で復権を得ない者
  • 登録取消しの日から5年を経過しない者
  • 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  • 貸金業法又は貸金業に関連する法律等に違反し、罰金の刑に処せられその刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けること
    がなくなった日から5年を経過しない者
  • 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  • 貸金業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者として内閣府令で定める者
  • 未成年者(その法定代理人がア~キの1つに該当するとき)
  • 登録を受けようとする者の役員又は政令で定める使用人のうちに前記ア~カのいずれかに該当する者のあるもの
  • 暴力団員等がその事業活動を支配する者
  • 暴力団員等をその業務に従事させ、又はその業務の補助者として使用するおそれのある者

登録の流れ

準備ができたら登録申請の流れに沿って申請していきましょう

01

登録拒否事由のチェック

上記登録の要件を満たしているか、役員、重要な使用人、貸金業取扱主任者になる方で欠格事由に該当する方がいないかなど基本的な事項について打ち合わせを行います。

02

必要書類の収集及び社内規則の整備

申請書に添付する公的証明書の取得や登録申請を行う会社の実態に合致した貸金業に関する社内規則を策定するため、打ち合わせを行います。同時に、業務の方法(金銭の貸借の媒介・代理をするか、貸付けの利率・賠償額の予定や返済期間・回数等々)を決定していただきます。

03

申請書の作成

登記事項や前記業務の方法で決定したことに基づいて申請書を当事務所にて作成します。

04

申請書の提出

都道府県知事に登録申請する場合、多くの都道府県で日本貸金業協会の都道府県支部を経由し、申請書を提出します。財務局長に登録申請する場合は、直接財務局に申請書を提出します。申請手数料・登録免許税は15万円です。

05

書類審査

ここで身分照会等が行われます。

06

現地調査

監督官庁の職員が実際に営業所・事務所に立ち入り、営業所の実態があるか、他の法人と同居していないか、申請書に記載された電話番号に誤りはないか等を調査します。

07

ヒアリング

監督官庁に申請会社の担当者が呼ばれ、業務の方法等についてヒアリングが行われます。

08

登録決定

各調査の結果問題がなければ、無事登録となります。

09

登録済通知書交付の案内通知

新規登録の場合、登録を受けてから6ヵ月以内に貸金業務取扱主任者研修を終了し、修了証書受領後2週間以内に研修受講届出書に修了証書の写しを添えて提出しなければなりません。

10

登録済通知書交付(東京都申請の場合)

登録済通知書を都庁で受け取り、当日、営業上の注意事項等の講習(約1時間半)を受けます。

11

営業開始

登録日の翌日から営業を開始できます。実際の営業には、日本貸金業協会を「指定紛争解決機関(指定ADR機関)」として手続実施基本契約を締結する必要があります。また、個人向け貸付けを行う貸金業者は、指定信用情報機関に加入する必要があります。